2019年04月15日

鹿島槍東尾根

鹿島槍ヶ岳東尾根は、冬季アルパインクライミングの古典的なルートとしてよく知られます。鹿島槍の北峰にダイレクトに突き上げる豪快な尾根です。
土日をかけて行ってきました。
前日まで出張で、準備もわたわたです。車を飛ばして大谷原についたのは7時30分と遅い時間でした。
しばらく林道を行き、そこから尾根に上がります。雪は締まっていて状態はよく、一の沢の頭、二の沢の頭と順調に高度を上げる。
快晴で、右には天狗尾根、東には唐松岳八方尾根、不帰の嶮がそびえます。
第一岩峰、第二岩峰とザイルを出し、相沢の頭で幕営。ここまでは快晴無風でしたが、夜は非常に強い風が吹き荒れてテントを揺らします。

翌日曜日は、午後から大荒れが見込まれており、私とパートナーは、早朝から出発して、午前中に下山を完了する予定でした。ところがこの風ではとてもテントからでられそうにない。とはいえ、天気予報によるとどんどん天気は悪くなる一方なはずで、早朝から出られなければここに閉じ込められるほかなくなる。困ったな。月曜の仕事に間に合わない…

などとアレコレ案じながら横になっていたのですが、朝2時ころから、次第に風は収まり始め、起床時間の2時45分には、どうやら歩けそうな感じです。
4時にテントから出ると、まだ暗く、雪が降っていますが、視界はある。風がやんでくれたことに感謝して、ともかく出発し、北峰に向かって高度を上げます。北峰についた時にはガスがありましたが、そこから南峰に向かい始めると次第に晴れあがる。
南峰までは地味にラッセルで、地味に高度差があり、地味にルーファイもして気の抜けない登りでしたが、その甲斐あって、山頂につくとすっかりと晴れ、北アルプスを従えた劔の姿は厳かで美しく優美でした。

さて、ここからは下山です。布引山を越え、赤岩の頭から赤岩尾根をダイレクトに降り、予定通り12時に、駐車場に戻りました。

よく、山に登れなかったとき、途中で引き返した時に「敗退」という言葉が使われますが、私はこの言葉が、あまり好きではありません。

ヤマには、勝つも、負けるもないのです。大体人間が山に勝てるはずもないのです。ただ、ヤマに登らせてもらえるかどうかだけで。
登らせてもらえない時は、自分の中に何かがあって、まだ登らせてもらえる時ではない、ということなのだと思います。

今回は、素晴らしい山に登らせていただきました。有難い限りです。写真の真ん中に見える長い尾根が、東尾根です。
鹿島槍東尾根


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