2018年11月20日
パートナーシップとは、何か。
私がまだ若かったころ、某社長が我々のアドバイスに反したことをなさり、結果、多数の人間から提訴されて事務所にいらしたことがありました。
その時、師匠は私にこうおっしゃいました。これから会議に入るが、決して、あの時我々のアドバイスに反したから…あの時の我々のアドバイスに従っていたら…などとほのめかしてはならない。依頼者は今傷ついている。我々の役割はその依頼者に塩を塗ることではなく、この苦難に、依頼者と共に立ち向かうことである、と。
会議室で呆然とする社長は、一晩で完全に白髪になり、見るからに憔悴しきったお顔でした。私の師匠は、社長の前に座り、その話に真摯に聞き入り、暖かく励まし、相談に乗っておられました。
その師匠の姿は、まだ若い弁護士だった私に非常に強い感銘を与えました。こういう弁護士になろう、どんな時にでも奢らずたかぶらず、常に依頼者のそばに駆け寄り、心から手を差し出せる弁護士になろうと、思ったものです。
だがこれは、なにも弁護士と依頼者の関係にとどまることでは、ありません。
夫婦間、親子間、ビジネスパートナーの間でも、「だからあの時言ったではないか」と、傷ついた相手にとくとくと勝ち誇って、一体何が得られるでしょう。そのほんの一瞬の優越感、快感のために、ひとは、実は大きなものを、失っているのです。
つまらない優越感などぱっと手放して、その場で、パートナーと共に手を取って立つ。それが、ビジネスであれ家庭であれ、パートナーシップというものだと、私は考えています。弁護士は、事務所にお運びいただける皆さんの、そのようなパートナーにならなくてはなりません。