2023年01月10日

配偶者に怯える生活を送る方に。

もう長いこと、その離婚案件にお付き合いさせていただいている女性がいます。

彼女(当時専業主婦)に子どもがおり、夫(国内有数の大手企業の取締役であり、社会的地位は高い)は不貞をしています。彼女はそれを知っても別れたくない、結婚は続けたい、子どもの学校のことなどを考えて、別居もしたくないというのです。彼女は夫から生活費を貰っていなかったので、同居中ですが、婚姻費用調停をおこすことになりました。
しかし、そんな同居生活は辛いものです。彼女が焦燥していくのを私は見ていられず、何度も別居を勧め、とうとう、彼女は別居する決意を固めました。ところが、それを伝えても夫は、「冗談はいい加減やめろ」「そんなゲームをいつまでするつもりなの?気が狂っている」などと言いつづけ、全く本気にしませんでした。
別居当日が近づくにつれて、彼女は、夫が怖い、怖いんです、と言い始め、どうか引越しの時に私に弁護士として、立ち会ってくれというのです。普段、弁護士が引越しに立ち会うことはありません。また私もその時は、彼女がなぜそんなに怯えているのかよくわかりませんでした。しかし彼女があまりにも怖がるので当日、珍しく引越しに立ち会うことにしたのです。
その日私は、初めて彼女の夫と対面しました。夫は激怒していました。彼は、妻が本気で別居する、つまり自分に反抗して意思を通すことができるとは全く思っていなかったのです。しょせん、実行などできやしないだろうと、妻のことを完全に舐め切っていたのです。その、甘く見ていた、たかが専業主婦が自分に反抗する。それが彼にとって耐えがたいことだったのです。
その日の彼の態度を見て、私はようやく、なぜ彼女があれだけ夫に怯えていたのか理解しました。夫の自信満々な、「所詮女が」「所詮専業主婦、なにもできないやつのくせに」という意識をむき出しにした、傲岸不遜な態度。相手を馬鹿にしきり、何か言えば高笑い、反論されると激怒して顔をこちらの顔の1センチすれすれまでに近づけて怒鳴り散らす態度。いわゆるモラハラというやつです。私は自分の職務の正しさに自信がありましたから、全く相手のことは怖くなく、どれだけ怒鳴られようが高笑いされようが痛くもかゆくもありません。しかし、奥さんである彼女は毎日、夫にこのような態度を取られ、どれだけこれに痛めつけられ、自信を失ってきたことでしょう。
そしてどれだけの勇気を振り絞って、別居を決めたことでしょう。この日私はようやく、クライアントである彼女の異常なまでの自信の無さや怯え、何度も何度も弁護士に確認しないと安心できない性格の原因を、理解しました。

別居後、彼女は就職し、懸命に働きながら、そして子供を育てながら、今、離婚訴訟を戦っています。相手は専業主婦ごときに一銭も払う必要はない、という態度ですから、困難な訴訟です。
その彼女が、先日、今の気持ちをしたためたメールをくれました。そこにはこう書いてありました。
「自分の足で、再出発地点に立ちたいのです」
「自分で、困難な道を選びました。でも、悔いはありません」

それを読んで私は、思わず涙が出そうになりました。

辛かったでしょう。いまも辛いでしょう。でも、彼女は夫に怯え、バカにされながら生きるのではなく、自分の足で立ち、歩いていくことを選んだのです。それを選択することができ、それを実行できた時点で、ある意味彼女は、モラルハラスメント夫に、勝利したともいえるのではないかと思っています。

夫は裁判への不出頭や、書面の不提出を繰り返し、また、その主張も毎回毎回変化させていて、まっとうな訴訟進行とは程遠く、これからも困難が予想されます。それでも、私は彼女の勇気を応援すべく、全力を尽くそうと思うのです。

そして、配偶者に怯える生活を送っておられる方は、他にもたくさんいることでしょう。
いちど、勇気を出してみませんか。あなたの手で、あなたの未来を選んでみませんか。
それは困難な道でしょう。それでも、悔いのない人生へと、続く道なのかもしれません。



  


2023年01月06日

槍ヶ岳硫黄尾根

年末年始は、5泊6日で、槍ヶ岳の硫黄尾根というところを登ってきました。

年末年始に登られる槍ヶ岳周辺の尾根ルートとしては、中崎尾根、横尾尾根、北鎌尾根、そしてこの硫黄尾根などなどがありますが、硫黄尾根は割と難しい方に分類される尾根です。登攀的な要素もありますし、長いし、ルートファインディング力も試されます。

1年前の年末年始も、ここを狙っていたのですが、天気悪く、聖が岳東尾根に転進。今回ようやくのぼることができました。

やはり北アルプスの厳冬期というのは、厳しいですが、その分計り知れない美しさと偉大さがあります。

私にとっては長年狙ってきたルートを落とせて、一区切りです。良い正月になりました。


  


2023年01月05日

容疑者になってしまったかも???と思ったときに思い出していただきたいこと。

あけましておめでとうございます。

気が付いたら半年もサボってしまっていたので、またぼちぼち更新していこうと思います。

さて、仕事始めは、「警察に告訴したと言われた」「警察から、話を聞きたいと連絡があった」という、もしかしたらこれって、自分、容疑者ってやつになってしまったのではないか???どうしましょう???みたいな飛び込みの御相談が相次ぎました。

普通の人は、敵対している人間から「警察に被害届を出したからな!」「警察が逮捕するって言っていたぞ!」と言われると、驚き慌てます。自分は、逮捕されてしまうのか、逮捕されたら自分の人生はおしまいだ、仕事はどうなる、家族は…と焦ります。そして、なんとかしなくてはと、相手に言われるがままに、高い示談金でも払おうとすることもあります。

しかし、人間、慌て焦っているときにはロクな判断をしないものです。まずは落ち着かれてください。そして、以下のことを良く頭に入れていただきたいのです。

まず、警察が「告訴状を受理する」というのはなかなか難しいことです。一般市民の皆さんは、「警察に相談に行って、話を聞いてもらった」ということと「警察に告訴した」ということを混同されます。なので誰かに「警察に告訴したからな!」と言われても、それが本当に「告訴が受理された」ことであるとは限りません。

次に、「逮捕」ですが、もしあなたが、何らかの悪事をしてしまったとしても、ただちに逮捕されるとは限りません。逮捕されるためには、逃亡の恐れがあるとか、証拠を隠滅するおそれがあるなどの要件が必要です。警察に呼ばれてもきちんと出頭し、自分には仕事も家族もある、逃げも隠れもしない、きちんと対応する、ということを、警察によく理解してもらえれば、逮捕されないことは十分にあります。

最後に、話が警察に持ち込まれ、警察が動き始めてから、最終的に事件が終わるまでには、物凄く長い時間がかかる可能性があるということです。
もし、あなたが逮捕され、留置場などに入れられれば、ある意味、事件は早く進みます。逮捕、勾留には時間制限があるからです。ただ、幸運にして、逮捕されずに(いわゆる在宅事件として)事件が進んでいくと、これはもう2年コースとか十分にあり得ます。なので、焦っても仕方ないのです。

まとめますと、「警察」「告訴」「逮捕」というワードを相手から投げつけられても、そんなに焦る必要はないのです。これらのワードが出てくると、焦って弁護士を頼むという方もたくさんいますが、ぶっちゃけ、弁護士に大金を払うまでもなく、警察に行っていろいろ聞かれて、あるいはちょっと怒られて終わり、という事件もたくさんあります。

今年の仕事はじめに飛び込んでいらした方々の事件は、おそらくどれも、まあ、そんなに大事にならずに終わるんじゃないですかね、という事件でした。すこしでも安心して、帰っていただけたら嬉しいです。

ただ、ひとつだけご注意いただきたい点があります。それは、「警察に呼び出されたら、必ず、出頭すること。」です。無視し続けると、あるいは気づかずに放置していると、「逃亡の恐れあり」として逮捕されてしまうことがあります。なので、警察からの連絡には、必ずきちんと対応されてください。

あとはね。心配したって状況は変わりません。心配されるのは当然ですが、心配され過ぎないように。心配して何とかなるもんではありません。それよりも、誠意をもって、事件に対応しましょう。



  


2022年05月13日

婚姻生活と減点主義

よく、旦那さんが、うちの奥さんに、あれを買ってあげ、これを買ってあげても、1年まえにデートに遅刻したことを忘れてくれないんだよなあ、と言ったようなボヤキをすることがあります。

これは、奥さんの思考回路に関する根本的な誤解があります。

人間には一定の割合「減点主義」思考のひとがいます。私は、「減点主義」は、女性の方に多いように思います。
減点主義とは何か、というと、免許の点数、あれと同じシステムです。

駐車違反で何点、一時停止違反で何点、というように減点されて、6点失ったらアウト、免許停止ですよね。
それと同じように、

・デートに遅れたら1点減点、
・夕食までに帰ってこなかったら2点減点
・無断外泊したら4点減点、

というように減点されていくんです。

旦那さんは一生懸命、プレゼントを贈ったり、旅行に連れていったり、点数回復に努めます。しかし、信号をまもったり、制限速度を守ったりしても、免許の点数は加点されません。それはそれ。これはこれです。免許の点数に、加点という制度がないのと同じです。

これは、奥さんが冷たい、とか、恨みがましい、というわけではありません。そういう問題ではなく、そもそも、そういう制度なのです。免許の減点制度について、冷たいという評価をする人はいないと思います。そういう制度ですから。そういう制度であるということを理解して、運転することが大切です。


ただし、数年間、安全運転に努め、減点がなければ、過去の減点は、消滅することがあります。

そして、それが続けば、免許がゴールドになり、更新が楽になる。つまり、よい旦那さんだ、ということで、夫婦生活は円満になるわけです。

なので、加点を考えることも大切ですが、そもそも減点されないようにすることが大切です。安全運転で、速度を守り、標識には十分に注意してしたがうことです。

なかなか、一発免停にはなりません。しかし、減点が累積すると免停になります。ご注意ください。




  


2022年05月06日

剱岳・チンネ登攀 北条新村ルート

4月23日から3日間、剱岳、チンネに登って来ました。

本来はチンネを狙ったわけではなく、まして、北条新村を狙ったわけでもなかったのですが、結果として北条新村を登ってしまいました。

私は、前々から、剣尾根、R4の氷瀑に行きたくて、過去何度かトライし、まだ登れていません。で、今回も、狙っていたの剣尾根R4でした。


この冬シーズンは氷瀑の氷結もよく、雪もよくふりました。だから剣尾根・R4はきっとできている、と、私はほぼ確信していました。

ただ、今回の同行者は、所属山岳会の若いお嬢さんです。彼女はとても強いクライマーですが、いかんせん、お若い。万が一のことがあったら親御さんにお詫びのしようもないことになります。そして、アプローチが、池ノ谷という、まー雪崩れの巣みたいなとこで、で、天気予報は芳しくありませんでした。

雪崩れるか、雪崩れないか、クレバスは大丈夫か。私は本当に直前の直前まで、吐くほど悩みましたが、ともかく、行ってみようと肚を決め、馬場島まで車を走らせました。

一日目。
なんと、伊折のゲートが開いてません。富山県の情報だと23日開通だったのに!
やむなく1時間半、かけて歩きます。そして白萩川にたどりつくと、最初の関門、渡渉です。私は過去ここで敗退しています。。

我々女性二人組より若干早く出ていた当会別パーティ(男性二人組)も同時に渡渉を試みており、真っ先に、男性組リーダーが水に入りましたが、股下まで水に浸かりながら、「深い!!冷たい!」と叫んでいます。もう一名の男性はパンツ一枚になって渡渉しようとしています。水量が多く、流れも速い。

これは、もう脱ぐしかない。我々女性組もさっさとズボンを脱ぎ、タイツ一枚になって渡渉します。殿方組の前でタイツ姿を披露することになるとは思ってなかったのですが、こんなことになるなら、いっそ、キメキメの編みタイツでも履いてくりゃよかった、と思いました。。。。
ま、ともかく渡渉は無事に終わり、幸いにしてそれ以降は雪渓が繋がっており、無事に池ノ谷を通過し二俣に至り、二度とストリップショーは行われませんでした。

二日目。
ゼイゼイ言いながらR4まで詰め上げるが、なんということか、氷瀑はありません。どうやらすでに崩壊してしまったようです。

さあどうする。R4のとりつきから、あと30分くらい詰めれば三の窓、そしてチンネはすぐそこです。
幸いにして同行嬢はチンネのトポを持っており、私は地図を持っており、また、チンネ、中央チムニーはかねてから私も研究していたルートであって、現装備でチンネ中央チムニーを登れることは判っています。

せっかく、こんなに条件のいい日に劔にいるのに、手ぶらで帰るのは悔しすぎる。じゃ、チンネ中央チムニーに転進しよう。ということで、三の窓を詰めてチンネに取り付きました。

1ピッチ目。取り付きがよくわかりません。なんかハーケンが連打してある、チムニーっぽいとこをあがります。
2ピッチ目。3級上と言われればもっともな感じ。
3ピッチ目。異常に難しい。どう見ても3級上じゃない。同行嬢が苦労して上がってくれるが、フォローの野島も相当時間を食いました。おかしい。中央チムニーにこんなに難しいピッチがあるのか。もしこれが3級上だというのなら、わたしゃもう、岩はやめようと思いました。
4ピッチ目は雪田を上がり、その上の岩場を少しだけ登る。
5ピッチ目、トラバース。
6ピッチ目。なんちゃってクラック。
7ピッチ目は3mほどでチンネの頂上です。
うむ、なんだ。いったい我々はどこを登ったのだ。と、唸りながら池ノ谷を下降し、三の窓から二俣の幕場に戻りました。

三日目。
雪崩と雪が腐ることを恐れ、さっさと撤収して一目散に下ります。幸いにして雪崩も出ず無事に白萩川に至り、今回は我々二人だけの渡渉なので、遠慮なくパンツ一枚で白萩川を渡り、伊折までの長ーい道をひたすら歩いて、車に戻りました。

で、いったい、我々、どこ登ったんでしょ??ということで、
車中、同行嬢が百岩で調べてくれた結果、どうやら我々は、下部北条新村ルート、上部雪田から正規?の中央チムニールートに合流してそこを登ったようでした。

総括。
計画書にない転進をしてしまったことは大きな反省点で、結果オーライで行けたものの、決して褒められたことではありません。ただ、池ノ谷が通れて(過去2回とも通れていません。温暖化が著しい・・・)、それなのに手ぶらで帰るというのはどうしても我慢ならず、結果として登ってしまいました。
そして、この時期に黒部、白萩川に入ることが許される喜びを、十分に噛みしめることができました。また、この週末で白萩川に入ったパーティは当会のみ(ガイド除く)で、それはとてもとても誇らしい思いでした。R4はまた宿題として残ってしまったけれど、積雪期のチンネも前から行きたかったところでしたし、ましてや北条新村なんて珍しい??ルートをのぼれたので、満足です。

未熟で行き届かないリーダーについてきてくれた同行嬢、そして山行を見守ってくれた皆様に感謝です。今後とも、精進してまいります。




  


2022年04月20日

牛丼とシャブともてない男(雑感)

吉野家さんが何やら盛り上がってますが、

個人的には、あの発言をしたおじさんは、要は、「田舎から出てきた、右も左も判らない」「生娘」でさえ、「シャブ漬け」にしなければ口説けない、ましてやベッドインできない、モテないおじさんだったのか。。。というのが、率直な感想で、

さらにいうと、まあそこで「シャブ」漬けにして言うことを聞かせてしまえ、という安直な発想が、モテない原因なのですよ、おじさん。と思うんです。

モテないならモテるように、まじめに精進すればよろしい。
高校生なら「東大に入ったらモテるのではないか」
学生なら「司法試験に受かったらモテるのではないか」

(←こう考えて励む若い男の子はたくさんいます。それはそれでよいことです)

と思って精進するわけで、

いや、何も勉強や仕事に限らず、モテたいのであれば、一生懸命相手を喜ばせよう、どうやったら相手は喜んでくれるだろう、と努力したり、自分の気持ちを伝えようとしたり、あるいはエッチの技術を磨いたり、
して、モテようと努力する、というのが王道、というか筋なわけです。そうやってまじめにやれば、まあ、そのこころはいつかはお目当ての女性に通じる。。。。かもしれない。。。

なのに、そこで、シャブその他のクスリに頼る、という根性というか安直な発想は、いただけない。

というのが、およそヤクがらみの案件に関する私の考えかたです。

いや、牛丼から話がずれ過ぎましたが、

しかし、牛丼に話を戻しますと、あの発言、時代錯誤だとか女性蔑視だ!というのはもちろんですが、

当のご本人の会社で、まじめに一生懸命牛丼作って、売ってる従業員に一番失礼ですよね。だってそうでしょう。彼らが作ってる牛丼は「シャブ漬け」にでもならないと食えたものではない。と言っているわけですよ。トップが。

それはあまりにもひどいんじゃないの。と思います。従業員が気の毒です。

うちの事務所の近くにも吉野家ありますが、中を覗き込んで、カウンターの中で、うつむいて突っ立ってる男の子を見てると、なんだかとても気の毒になってきます。

がんばれおにいちゃん、貴方は悪くない。牛丼も悪くない。

普段あまり吉野家はいかないのですが、久しぶりにいってみようかと思います。応援を込めて。  


2022年04月15日

ヤマヤに離婚は多いのか。

今季冬シーズンも終わりかけており、〆に差し掛かっていますが、今季はなんだかいつもよりかなり激しくラッセルした気がするので、できればもうラッセルのないところに行きたいのですが、そう思っている矢先に今もなお積雪があるようで、若干怯み気味になっている野島です。

さて、先日所属山岳会の飲み会で「クライマーは離婚が多い」「アルパインクライマーはそうでもない?」などといいうくだらない話がでまして、ひととおりもりあがったのですが、私の実感からいいますと、とくにヤマヤに離婚が多いわけでは、ない、ように思います。

もちろんヤマヤの離婚もものすごくたくさんやってきましたよ。だけどそれは、たまたま山仲間が離婚するので私に相談した。というだけで、
離婚のご依頼者さんが、よくお話を聞いたら実はヤマヤだった。というわけではありません。

一般論として、何らかの特異な趣味があり、その趣味が配偶者に理解されず、かつ、そこそこ家族に迷惑なものであり、しかし本人にとってはそれが命を賭けてもいいほど真剣に取り組んである趣味である、となると、

まあ、性格の不一致というか家族を顧みないというか、価値観があわない、ってことで離婚には至りやすいでしょう。

山はその「特異な趣味」の一つに過ぎません。なので「ヤマやだから」「ヤマに行くから」離婚する/しない、ではないと思いますね。離婚する人は何やっても離婚するんで、ヤマを言い訳にするのはちょっと、ヤマヤらしくないと思います。

ただ、です。

山に行くとき、男性と女性が二人だけで、サシで、テントに泊まったり、前夜泊したりすることは多々あります。
これはヤマを知らない人からすると理解しがたい、許せないことかもしれません。

しかし、別にだからと言って、常に恋愛に発展するわけでもなければ、肉体関係に至るわけでもありません。

私だって数えきれないほど、何度も、男性のザイルパートナーと組んで、ヤマの中で何泊もしたり、車中泊したりしますが、そこで何かがあるわけではない。ないですが、確かにヤマを知らない人から見たら、「あの二人一緒に泊まってる。。。」と見え、それが疑い、不満、不安の種になり、やがてその種が芽を出し。。。となることは理解できます。

かつ、現に、ヤマヤ同士で恋愛感情が芽生え、既婚者の場合には不貞に至る。というケースも間違いなくあるところではあります。

だって、めっちゃ長い間一緒にいますからね。我々。平気で、24時間、48時間、死ぬかもしれないような場所を、二人で、お互いの命をザイルで繋いで、励まし合いながら行動するわけです。

2時間、隣に座って映画見て、その後飯に行く、くらいの普通のデートなんぞとは濃密さが違います。
長時間二人きりで、しかも頼りになるのは自分と相手だけ、という、緊迫した状況におかれるわけですから、そのうち、そういう感情が芽生えても不思議ではありません。

ですが、まあ、それでも何もない時は何もないし、何かあるときはある。それはヤマに限らんと思います。離婚してるヤマヤさんたくさん知ってますが、みなさん、ヤマが原因かというとそういうわけでもないですしね。

個人的には社交ダンスの方が不貞に至りやすい気がします、ヤマより。アレはお互いの身体にふれ合うし、男らしさ女らしさ、美しさ、というものを強調する競技ですからね。

また、オンラインゲームとかいう、肉体的接触とは程遠い趣味、ではあっても、でわざわざ不倫する人もいます。ま、いろいろです。

結論。ヤマやが離婚するとしてもそれはヤマのせいではない。それは言い訳です。離婚の原因はほかにある。






  


2022年03月24日

仕事はたのしいかね。

新社会人が世間にはばたく季節が近づいてきました。

私は、だいたい平日11時間~12時間くらい仕事をしていますが、仕事そのものは好きで、苦になりません。

1日が26時間になれば、13時間から14時間、
28時間になれば、15時間から16時間くらい、普通に仕事をするだろうと思いますし、

もし生まれ変わるとき、人生を選べるなら、もう一度弁護士になるでしょう。楽しいので。

「大金持ちの家に生まれて働かなくていい身分になりたい」とは思いません。

ただ私は弁護士になった時からそうだったわけではありません。弁護士1~2年生のときは、もう、酒でも飲まなければ事務所に行けないと思い詰めるほど仕事がつらかったですし、

その後も、かなり長い間、仕事がとてもとても苦しかったです。思うようにいかないし、うまくいかないことも多いし、責任も重いし。。。

ですが、弁護士になって10年過ぎたあたりからでしょうか。
自分は弁護士以外、何もできない。もう、食ってくにはこれしかない。となると、これを嫌いなままでいるよりは、好きになった方が絶対幸せだ。
何が何でもこの仕事を好きになるのだ。

自分が選んで受けた司法試験だ。自分が選んでなった弁護士だ。これを好きになることは自分の、自分に対する責任だ。とおもったのです。

それで、ともかくこの仕事を好きになろうとしました。好きになることは簡単でした。1年くらいたったら、すっかりこの仕事が好きになっていました。

そうこうするうちに、仕事が、わたしを育ててくれました。仕事は、私の人生を豊かにしてくれました。仕事は、私を支え、私を支え、いついかなるときも、私を守ってくれました。ここまで私を守ってくれたのは、仕事だけです。

だから私は仕事にとても感謝していますし、惚れこんでもいます。

それに、お客さんだって、「あー、仕事つまんねえ。やだなあ」と思いながら仕事をする弁護士と、事件が大好きで楽しいと思っている弁護士とだったら、後者の方が、いいのではないかと思うのです。

昔「仕事はたのしいかね」という本が流行りました。読みましたが私にとってはつまらん本でした。

仕事は、問答無用に楽しい。ただ、その心境に至るまでの途は、ひとそれぞれです。

それぞれの途があっていいと思います。私は10年かかりましたが、周囲には、弁護士になってすぐのころから「仕事超たのしい!」と絶叫している同期もいましたし、いまでも「やめられるらすぐにでもやめたい・・・」とぼやく同期もいます。

なんにせよ生きていく以上、仕事とは折り合いをつけなければなりません。どこかで。

もうすぐ新社会人として就職される皆さんが、よい職業人生を送られることを、祈ります。  


2022年03月15日

「男にだけは、気を付けろ」とじいさんは言った。

私が大学を卒業し、司法試験に合格して、一度、函館の祖父の家に帰った時のことです。
祖父はよほどうれしかったのでしょう、私が祖父の家に入った時、ソファの上で横になっていたのですが、むっくりと起き上がり、よろよろと歩いてきて、わたしの手を取り、

「おめ、えぐやったな」(お前、よくやったな)と言いました。

その日の夜、祖父は、戸棚からとっておきのブランデーを取り出し、それをちびちびと飲みながら、私に向かって、こう言いました。
「いいか、おめ、おめは、大学も出た。資格も取った。あとは、男だ。男にだけは気を付けろ。」


私にシミジミそう言い聞かせて、それから本当にすぐに祖父は倒れ、あっという間に還らぬひととなってしまいました。

で、この会話を祖父としたときには、私はまだ、祖父が何を言っているか、いまいち理解していませんでした。まだ、20代前半。何も知らなかったころのことです。

今になって、本当に、祖父のこの一言は、至言だったと思います。

この頃、卒業式でしょうか、華やかな羽織姿の若い女性をよくみかけます。また、私の所属する山岳会にも、どんどん若い女性が見学に来ます。

これからいろんなところで羽ばたこうとする若い女性たちを見ると、本当に、心の底から思います。

おとこにだけは、気を付けろ。と。  


2022年03月02日

ウワサの、福岡地裁の「不貞の証拠不十分」」判決について

同業者の間で地味に話題が沸騰している、
例の福岡地裁の、「何度も一緒にラブホ行った事実は認めたのに不貞行為の証拠不十分」判決について、
いろいろな方がいろいろなことを言っておられますが、


うーん、わたしがあの原告代理人だったら、「不貞行為の立証十分だ、勝てるだろう」とまで、信じ切れなかっただろうなあ、と思います。立証できてるかなあ、できてると思うけどなあ、、、、と、ふたを開けて判決主文を聞くまで、びくびくしたことでしょう。小心者なもので。


もし被告代理人だったとしたら、すっごくハラハラして判決まで眠れない日が続いただろうと思いいます、ですが、原告代理人だったとしても、やはりハラハラしただろう、とは、思います。

それくらいいろいろな意味で、びみょーな判決です。

判決文から証拠の内容を知る限り、わたしゃ、あの福岡地裁はまっとうな判決だと思います。妥当な結論だと思う。が、そこらへんは、評価割れますよね。
ちなみに私は自分自身、「一緒にホテル(ただしラブホではない)に入るところを抑えたのに不貞行為の立証不十分」という判決を食らったことがあり(ただし高裁で勝訴的に和解した)、逆に、「一緒にホテルの前を歩いていただけで(手も繋いでない)不貞行為あり」という判決も食らったことがあるので、そもそも裁判官というやつらは、何をどう評価するか分かったもんじゃない、と思ってます。

だからどんな事件でも結構判決前は緊張しますよ。裁判官のこと、信じてませんから。あいつら、どんな判決かくか、判ったもんじゃねえ。と思ってます。


ただ、まあ、この福岡地裁はだいぶ事例判決でしょう。これが「ラブホに行った証拠をとられてもそれだけでは不貞は認定できないとした先例」として、判例として確立するかというとそれはないでしょう。なので、あ、ラブホ行ってもそれだけでは裁判所では、不貞ととられないのね、とか早とちりされないように、みなさん。


いくならせめてシティホテルにして、なんか言い訳ができるようにしておいたほうが、アンパイです。
個人的には、もうとっくに中年の声を聴いたいい大人が、なにも、そんないい年してラブホいかんでもいいと思います。

やることはおなじでしょうが。