2023年05月08日

ゴールデンウィーク 剣尾根主稜全登攀

今年のGWは、私の念願の剱岳西面・剱尾根主稜に、強いリーダーと若者という心強い仲間を得て、ようやく行ってきました。


本来、定石どおりに馬場島から池ノ谷を経て取り付こうと出発したのですが、折からの増水で白萩川が渡渉できず、高巻道は工事のため通行止め、ということで、急遽引き返し、熟考の末、
アルペンルートから室堂→剱沢(ベース)→剱・別山尾根(カニの縦這、横這で有名なとこ)→剱山頂→北方稜線→池ノ谷乗越から池ノ谷下降→剣尾根R10 からコルE→ビバーク→いわゆる「門」(ここまで剣尾根下半部)→剣尾根上半部→剣尾根の頭→長次郎の頭→長次郎谷下降→剱沢ベース戻り→室堂、
という、超長い、かつ、別山尾根に剱の山頂を踏み、北方稜線を通って剱尾根を、上半部下半部通して味わう、という、非常に贅沢っつうかやりすぎっつうか、ともかく、充実した山行になりました。以下、簡易記録です。


30日(前日):ど雨
長い移動の末馬場島に到着、富山県警にご挨拶に伺うと、この増水、渡渉は困難、高巻きも工事のため無理だよ、まあ、行ってみて考えなさい、と言われる。不安を抱えたまま、前夜泊。


1日:晴のち風雪
早朝出発するも、白萩川を見て言葉に詰まる。渡渉、無理!転進も考えたが、剱・黒部にこだわりたいという野島の希望をLが考慮してくれ、いまからでも遅くない、室堂から剣尾根へ回ろう、と言ってくれる。ありがとう、Y田さん。。。。
急遽アルペンルート立山口に回り、室堂へ。雷鳥坂を登り切ったあたりから、予報通りだが天候悪化、剱沢に幕営しようとするもテントが吹っ飛んでいく(男性二名が全力で走って捕まえてくれた)トラブル。なんとか幕し、明日は、1ビバーク前提で、剱山頂を超えて池ノ谷を下降し、剣尾根に取り付く、というタクティクスを確認する。


2日:風雪のち晴
2時30分起床するも天候回復遅れ、05時30分出発。別山尾根を越え、09時15分、剱山頂に一番乗り。そこから長次郎を超え、池ノ谷乗越から、愛する池ノ谷を一気に下降し、R10 から剱尾根に登り返す。とうとう、憧れの剱尾根主稜に取り付いたのだ、やたら、長いアプローチになっちまったが。。。
下部岩壁は野島がリードし、コルDとCの間に幕営適地を得てビバーク。このルートの華、「門」は荘厳に聳え立ち、その上を幾望の月が輝く。振り返れば日本海に夕日が沈み、富山県の、水を張ったばかりの水田が日を浴びて、美しく赤々と輝いている。


3日:晴
0300起床、0500発。コルCの岩壁、Y田Lリード。アブミをかけ替えてこなす。次が、「門」、新進気鋭の若者が余裕でリードしてくれ、ドームの頭へ。
剣尾根は、ドームの頭までの下半部、そこから長次郎の頭までの上半部に別れ、下半部が核心である。なので下半部さえこなせればいいと思っていたのだが、ドームの頭についた時点でまだ1100過ぎと余裕であったので、上半部も登攀することとする。2ピッチザイルを出す、いずれも容易、野島リード。その先はザイル不要だが、くだらないところで野島が不注意のため20M?程滑落したため、そこだけザイルを出した。
剣尾根の頭1530。長次郎の頭1630。そこから長次郎谷を下降し、剱沢のベースに登り返したときには、すでに1930を過ぎていた。


4日:晴
晴天。良く寝た。落ちたときにひねった足も、痛みなく安堵する。劔御前を経て雷鳥坂下降、登り返して室堂1010。
長い旅が終わった。

お付き合いいただいた皆様と、室堂から回ると報告した我々を、快く送り出してくださった富山県警山岳警備隊の皆様に、ゴールデンウィーク 剣尾根主稜全登攀
ただただ、感謝です。