2023年02月06日

スシローぺろぺろ少年の心理の謎

いわゆる、スシローペロペロ高校生の動画で、スシローのみならず、回転ずしの店舗は軒並み客数激減で、大変なことになっているようです。これについて、高校生はスシローに対し、数億くらいの損害賠償責任を負うことになるのではないか、とかいう説も出ていますが、

しかし、厳密にあの行動(ペロペロ→動画撮影→その投稿)でどれくらいの損害が発生したと認定できるかというと、とても難しいだろうと思います。おそらく、せいぜい数百万ではないでしょうか。


また、仮に損害が認められ、損害賠償の判決が出たとしても、そもそもあの高校生と親御さんに支払い能力がなければどうしようもない。一括が無理なら、分割しかなく、あのご家族にはまだ小さいお子さんもいるようですから、せいぜい月に5万程度ではないでしょうか。そうすると年60万、10年かかっても、600万です。それくらい、気の長い話になるでしょう。

こういうとき、よく「払えないでは済まされない!借金してでも払え!」という方がいますが、借金してでも払え、という判決は、わが国では絶対に出ません。勝っても、相手に金がなければ、取れないのです。

判決で勝つことと、現実に回収できることとは全く違います。

しかし、それにしても私が不思議に思うのは、なぜあんなことをするのか、その心理です。

なぜ、そこまで「注目を浴びたい」のか。その手段としてなぜ、「ぺろぺろ」という行為なのか。

想像してみてください。寿司にいちいち唾をつけ、醤油さしを嘗め回す。やるほうにとって、なんら楽しくもなければ、快感もない行為です。

「軽い気持ちで」やった、と親御さんは、言っています。しかし、あの年ごろの子どもたちが「軽い気持ちで」よくやる、「バイクを盗んで集団で走る」「万引きをする」「飲酒、喫煙」といった行為であれば、その行為自体に快感があります。なので、それをやること自体には、まあ、ちゃんとした合理性があります。

ところが、醤油さしをぺろぺろする行為には何の快感もないわけです。それを「動画にとって」さらに「拡散する」、それだけでも楽しくはないでしょう。あの高校生は、それによって「自分が注目を浴びる」ことに、快感を求めているわけです。

そこが、とても不思議に思います。自分にとって快感どころか、めんどくさく、むしろ不快でさえあるであろう行動をわざわざ、手間暇かけて行ってまで、「注目されたい」という、強い欲望。そこまでして「注目されたい」。

その欲望だけが、いびつなまでに大きい。

これはまた、人気者になりたい、称賛されたい、という欲求ともちょっと違うでしょう。醬油さしをぺろぺろしたって、嫌われこそすれ、人気者にはなれないということくらい、わかっているでしょうからね。

たまに、自殺する、自殺する、と言って、わざと親や家族の前を選んで包丁を持ち出してみたりする人がいますが、そういう人たちは、まあ注目を浴びたいわけですよね。称賛されたいわけでもなく、人気者になりたいわけでもなく、ましてや本当に死にたいわけでは全くなく、注目を浴びたい。

その心理は、正直正常ではない。人間誰でも注目を浴びたいとは、心のどこかで思っているものですが、しかし、それにしてもいびつで、病的です。

ぺろぺろ少年は、そのように自分を傷つける方向ではなく、スシローという、赤の他人の店舗に多大な損害を与える方向で、注目を浴びようとしたわけで、それはひっくり返っても許されないことですが、

しかし、そこまでして注目を求める、人気でも称賛でもなく、ただ注目を集める。その、彼の心理はなんなんでしょう。ただの、とんでもないやつ、で済ませられる話なのか。

SNS時代、とかく、「いいね」を集める。注目を集めることに、我々の関心は向いてきています。いいおとなまで、みんな、注目を集めることを、競っている。その風潮に、警鐘を鳴らす事件なのかもしれません。