2019年02月25日

「親権」って、なんでしょう。

先日、ヤマからの帰りに、私のザイルパートナーでありプライベートのパートナーでもある男性と、話をしていて、非常に驚くことがありました。

彼は、数年前に離婚しており、そのとき、お嬢さんの親権者になっています。お嬢さんはその数年後、成人されました。

というのが前提条件で、まあ、ヤマの帰りの車の中で、徒然なる話をしており、そのとき、彼がふっと、「A子(←お嬢さんの名前)の親権者はオレだから。」と言ったのです。
いや、もうお嬢さん、成人なさったんだから、親権っていうのは、もう、無いよ。

というと、彼は非常に驚愕した顔をして、親権はいつなくなったんだ?なぜなくなったんだ?なくなったなんて聞いていない!というのです。

これには私の方が驚愕しました。親の親権、というのは、とうぜん、未成年の子に対してのみ、観念されるものです。成人した、立派な大人に対しては、親権もへったくれもありません。大人は大人として、自己決定、自己責任で、生きていくものです。親の指示も許可もなしに。

それを説明したのですが、「いや、そんなはずはない!」「親権者オレって、戸籍にも書いてあるし」と頑張ります。いや、戸籍に書いたのは、離婚のときの親権者がアナタだった、ってことが書いてあるだけだし…。

と、いろいろと説明していると、さすがに、弁護士相手に頑張っても無駄だとは分かったらしいのですが、「親権が消えるなんて、そんなこと普通の人は知らない」「それは法律の上ではそうなのかもしれないけど、世間一般はそうは思っていない。」「それはおかしい」などと言い続け、よほど、「親権」が消えたことが、ショックであったようでした。

いや、親権はもうないけど、別に親であることは変わりないし。それは、わかれたアナタの前の奥さんだって、お母さんであることは変わりないし。などなどと説明したのですが、その後沈黙を続けていたことから察するに、彼の中で「親権喪失」のショックはあまり解消されなかったようでした…。

いや、まあ、喪失、という表現もちょっと違いますよね。お子さんの成人にともない、親権というものが観念しえなくなった。ということです。電源の喪失とは、訳が違います。

だって、成人した一人前の大人に、親権があるって、おかしくないですか?私はどう見ても、おかしいと思うんですが。これって弁護士オンリーの感覚で、一般の人の感覚からずれているのでしょうか??

ともかく、親権は、成人するまでの、お話です。その後は、一人前ですから、自分の名前で、自分の決定で、自分の責任で、つまり自分で金を稼いで、生きていくのです。それは大学生であれば学費を出してもらうとかはあるかもしれませんが、原則として、親が子を扶養するのは20歳まで。養育費だって原則は20歳までです。

それが成人するということです。成人式は、着物を着てキャーキャー騒ぐためのものではありません。それまで、親権者として、自分を守ってくれた親、親権者としての義務を完了してくれた親に感謝し、これから一人の人間として、親に頼らずに、親からカネをもらわずに、自分の力で、生きていく決意を表明する儀式で、だからこそ、「晴れの舞台」なのですから。