相続法改正で「嫁、頑張れ」?
相続法が改正されます。いろんな点が改正されて、これは改正直後は相当混乱するかなあと思います。
自分の勉強のためにも、ぼちぼち、このネタを書いていこうと思うのですが、個人的にはこの改正で一番おおおっと思ったのは、「被相続人の親族」が、相続人に対し、特別寄与分として金銭を請求できることになった点です。
究極に簡単に書きますと、母がすでに亡く、老いた父、長男、長女、そして長男の嫁、という登場人物がいたとして、老いて寝たきりになった父は長男とその嫁と同居し、嫁が父(つまり舅)の介護を献身的にしていた。そして、老いた父が、遺言書なしに亡くなった。という場合。
相続人は、長男と長女の二人で、この二人が相続人です。現在の法律の下では、どう頑張っても、嫁は遺産をもらえませんし、また、嫁の努力を考慮して、長男の取り分が多くなる、ということもありません。
そこで、新しく、被相続人、つまり亡くなった人に対して「無償で療養看護その他の労務を提供し」、亡くなった方の「財産の維持または増加について特別の寄与をした被相続人の親族」が、相続人、つまり長男と長女に対して、自分にも相応のお金をください、と請求できることになったのです。
そもそも、こういう療養看護は、家族間の自然の情愛に基づいてなされるべきもので、「カネあげるから介護頑張ってね」みたいなメッセージを、民法が発するのは、いかがなものか。という議論は昔からありました。
しかし、実務に携わっている法律家から見ると、やはり、療養看護のために時間も労力もささげ、時には自腹まで切ってきた親族の、その尽力が全く評価されず、一度も見舞いにも来なかった相続人ががっぽり遺産を持っていく、というのは、やはりそれって正義じゃないんじゃないですかね、という想いがあります。そういう意味で、私は、この改正に賛成です。
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