ゴーンさんの勾留理由開示

nojimarie

2019年01月09日 11:53

昨日東京地裁にて、ゴーンさんの勾留理由開示が行われました。東京地裁は中も外もごった返していたことでしょう。私は、昨日、期日が入っておらず東京地裁には行かずに済み、したがって、お祭り騒ぎに巻き込まれずに済みました。新年早々ラッキーなことです。

さて、勾留理由開示請求で、ゴーンさんは10分ほど、意見陳述をしたそうで、これが、おそらく勾留理由開示請求を行った弁護側の最大の目的です。

本件の勾留理由が、罪証隠滅の恐れと逃亡の恐れだろうなっていうのは、弁護士であれば、どんなあほでも想像がつきます。そんなこと開示してもらったって面白くもおかしくもない。

大体において弁護士は勾留理由を知りたい、なんて真剣に考えて勾留理由開示請求をするわけではありません。勾留理由開示請求をなすと、勾留中の被疑者は公開の法廷に出てきます。つまり、引き離されている家族は、ここで、勾留中の夫なり、妻なり、子なり、の顔を見ることができるわけで、ひとめでも家族に、被疑者の姿を見せてあげたいと、そういう思いで勾留理由開示請求をするのが、まあ、一般的です。

ただ、その場合は、被疑者は腰縄をつけられ手錠をかけられた状態で登場しますので、逆に、そういう姿を家族に見せたくない。というひとも、います。

ゴーンさんの場合、手錠された姿を見られたくない、という思いより、演説をして、無罪を自分の声で訴える、そういう姿を、世間に印象付けたかったのでしょう。勾留理由開示請求の法廷でそんな演説をしたところで、刑事裁判の行く末に何か影響があるかというと全くないのですが、しかし、ゴーンさんはやはり、世論に訴えたかったのでしょう。世間を味方につけたかったのでしょう。

ゴーンさんがこの先どうなるのかは興味津々ではありますが、しかし、本件、何となく、ルノーと日産と三菱自動車との、三世代総出の家族戦争という、ある意味コップの中の嵐(超巨大なコップではありますが)に、日本の刑事司法が使われているような気がして、なんとなーく、面白くない、と私は思ってしまいます。こういう、企業内お家騒動は、きわめてよくあることです。私も、よく手掛けます。しかし、お家騒動はおうちのなかでやっていただきたい。商事、民事はともかく、刑事司法を使ってやるもんじゃなかろう、と思うのです。ま、もう始まっちゃいましたからね、こんなこと書いても、仕方ないのですけれども。

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