そこには、必ず、罠がある。
時々、事務所にいらっしゃるお客さんは、
「先生、この調停はすぐ終わると思うんです」
「妻は離婚に同意してますから、そんなに揉めないと思います」
「こんな事件、簡単だと思うんで…」
などなど、と、おっしゃいます。
が、お客んがそうおっしゃった事件で、「簡単だった」「楽だった」「すぐに終わった」事件は、ありません。
とんとん拍子にいきそうだ、と見えるときには、警戒しましょう。必ず罠がありますから。
とんとん拍子に行っている、と見えるときには、もっと警戒しましょう。罠は、確実にあなたをとらえにかかっていますから。積極的に不安になりましょう。
逆に、全くうまくいってない、罠にドはまりしている、なう、という時には、希望を持ちましょう。必ずどこかに抜け道がありますから。
そういうもんですよ‥‥
と、お客さんには、いつも申し上げています。この「上手くいくはずがない」精神が、最大の防御として効果的に働くこともあります。
世間では「楽観的に行きましょう」「自信を持ちましょう」「自分を信じましょう」という言説もありますが、私は懐疑的です。自分なんか一番信じられません。いっぱい、ミスしますから。だから、いつも自分がミスをするのではないかと警戒しています。この警戒が、ミスに対する最大の防御だと思っています。
なお、余談ですが、これらのセリフ、つまり「こんな事件簡単ですよ」系のセリフを、「イソ弁がボス弁に言われた時」には更なる大警戒が必要です。もう、間違いなく、災害級の罠があります。
イソの皆さん、お気をつけて。ご安全に。