Traversée des Drus ~ ドリュトラバース登攀記
もう2か月半も前のことになりますが、今年の夏休みは、 ヨーロッパアルプスで Traversée des Drus というルートを登ってきました。
ドリュは、まあ、ヤマを登る人なら知らない者はいないでしょう。エギーユ・ド・ベルテの前衛峰にあたる、でっかい壁をもった針峰です。
初日、シャモニから電車でモンタンベールまで、そこから氷河を通ってシャラポワ小屋に泊まります。優しい女性が切り盛りしている小さい小屋です。
そこから、二日目、朝5時に小屋を出て、1時間半ほどでとりつきでしょうか。そこから延々と、800mの垂直の壁を登ります。
やっとたどり着いたところは、petit Drus の頭にあたります。そこからいったん降りて、Grandes Drusに登り返すのです。
日本で言うと、小仙丈岳、大仙丈岳、が、壁になったみたいな感じ、といえばわかるでしょうか。
もう、petit Drus についた段階でヘロヘロなのに、その先のGrandes Drus を登るのが本当にきつかったです。特に最後は大きなクラックで、クラックをほとんどやらない私には核心でした。
頂上に着いた段階で16時すぎ。そこから15ピッチ懸垂して戻り、氷河を歩いて小屋に戻ったのは2130過ぎでした。ヨーロッパはまだこの時間でも明るくて助かりました。
痺れました。日本人でドリュを登る人は、数年に一人でしょう。
そのような壁を登りきれたのは、いままで、私を教えてきてくださった先輩方、私と登ってくれた山岳会の、そしてそれ以外の仲間たち、私の登攀を支えてくれる家族、理解ある事務所のスタッフ、私にかかわってくださった多くの方々のおかげです。
皆さんなしには登れませんでした。心から感謝しています。