精神を病むということ

nojimarie

2021年07月15日 14:50

私には父方の兄弟にも母方の兄弟にも、そこそこ重い精神障害をもった人がいました。時には閉鎖病棟にそこそこ長期、入らなければならないようなそんな病状でした。

田舎のことです。祖父母は子の精神障害を正面から受け止めることができず、隠しました。私は、おじ、おばにそのような病気があることを、全く知らずに成長しました。

18歳のころわたしもまた精神を病みました。その時は、とてもつらかったのですが、なかでも「なぜ、自分だけがこんなに苦しまなければならないのか」という疑問は、非常に強く私を苦しめました。

姉は、一切精神を病むことなく、健全です。なぜわたしだけ。自分が悪いのか。親が悪いのか。娘の病を前に悩み苦しむ親を目の当たりにし、親を悲しませてしまっているという罪悪感もありました。その一方で、親があんなことを言ったからだ、あんなに高圧的だったからだ、あんなに支配的だったからだ、、と親を怨む気持ちも、正直、あり、、でも、親を恨んでいる自分に、また更に罪悪感を持っていました。

とても分裂した感情にさいなまされながら、私は暗闇の中でずっと叫んでいました。なぜこうなってしまったのか。なぜ。私だけが。

それからしばらくして私は、おじ、おばの病を知りました。母方にも父方にも、私と病名は全く違うが、精神を病む人がいることを。

とても驚きました。そして、ふーッと、楽になったんです。


私が病気になったのは、これはもう血統なんだ、、と思ったのです。本当に遺伝とか血統とかが、精神の病に関係しているのかは知りません。判りません。

ただ、血統なんだ!と片付けることができたことで、、私は、病気になったのは自分が弱いからでも、自分が悪いわけでもない、親が悪いわけでもない、親の育て方が悪かったわけでもない。これは、、もう、神様が決めたことで、だれを責めるというものでもないんだ。私の運命なんだ。

と思えたんです。その瞬間私は、犯人捜しを卒業し、病気になった自分を受け入れられたのです。これが自分なんだ。と。

その時から、本当に回復し、通院が不要になるまでは非常に長くかかりました。ですが、「誰が悪いわけでもない。これはもう、血筋。私の運命なんだ」と、、受け入れることができたのは、本当に、気が楽になりましたし、回復への一助になりました。

だから、私は今、精神を病んでいらっしゃるかたには、言いたいのです。あなたが悪いんじゃない。と。