2025年04月24日
黒部横断(単独・五竜岳~東谷尾根~仙人ダム~雲切新道~北方稜線~剱)
弁護士稼業とは全く関係のない話で恐縮なのですが、単独で、黒部横断に行ってきました。
以下、所属山岳会のHPに掲載した文章をそのまま、転記させていただきます。
メジャーなルートではありますが、私にとっては、一世一代の単独行でした。これが成功したことをとても嬉しく思うと同時に、お力添え賜った皆さまに心から感謝申し上げます。
***************
○山域・ルート:五竜岳~東谷尾根下降~仙人ダム~雲切新道~ガンドウ尾根~剱~馬場島~伊折
○期間:2025/04/18~22
○メンバー:L野島梨恵(単独)
○タイムスタンプ
初日 0845地蔵の頭~1330五龍山荘~1500五竜岳~東谷山~2300m付近幕
2日目 0525幕地~1600黒部川~仙人ダム~1630仙人谷幕(夜半引っ越し騒動あり)
3日目 0450幕地~スノーブリッジ横断~雲切新道~1330頃ガンドウ尾根合流~1430仙人池ヒュッテ幕
4日目 0450幕地~仙人山~池の平小屋~0850池の平山~小窓~小窓の王~1600三の窓幕
5日目 0450幕地~池ノ谷ガリー~0750剱本峰~1120早月小屋~1600馬場島~1700伊折ゲート
○報告
4月19日出発の予定を、天気予報に鑑みて1日前にずらした。これが功を奏した。天候に恵まれ、毎日10~12時間ほど行動し、4泊で、黒部を駆け抜けてきた。
18日。
快晴である。朝いちばんのテレキャビンに乗り地蔵の頭へ。ここで見送りに来てくれた夫と別れ、遠見尾根を歩く。ラッセルはまあまあ。
五龍山荘まで順調に進み、五龍岳から、いよいよ東谷尾根に向かって歩き出す。ここから先は未知の世界だ。今夜から明日朝にかけて強風が見込まれるため、可能な限り高度を下げておきたい、その一心で、必死に東谷山を超える。超えて少し行くと地形図通りなだらかな、針葉樹林のある台地があり、幕。夜は予想通りの風となったが、それより、地震にびびった。
19日。
朝起きると、雨がテントを叩いている。朝食を食べ終わっても止まず、しばし待つ。明るくなってきたころ、これ以上は待てないので、ガスの中を出発する。歩き始めて1時間半ほどするとようやくガスが晴れてきた。
歩きやすそうに見える…ところは雪庇である。慎重に、雪庇と樹林帯のきわきわを選んで歩く。東谷尾根の最大の難点と想定していた2001mピークの下降だが、一見して、こんなのクライムダウンは無理。ということで、懸垂。しかし、藪が意外と濃くて先が見えず、懸垂もそれなりに苦労した。
やっと懸垂が終わって、地形図上細長く平らになっている尾根に目をやると、藪と岩と雪のミックスで、こんなのいくの、うそでしょ、到底歩ける気がしない。ひょっと右手に目をやると、なだらかで歩きやすそうな斜面が続いている。ので、尾根上を歩くのはやめ、尾根から20~30m下の斜面を延々とトラバースしていく。すると、いい感じの枝尾根にぶちあたる、そこから容易に尾根に復帰できた。このルーファイは上手くいった、のだが、問題は1647mピーク以降の下降で、尾根は急峻に、細くなるし、藪は濃くなる。笹とシャクナゲの藪なのだが、絶妙な感じで雪も出てきて、アイゼンを外せない。正午を回り気温が上がったため、雪に乗るとはげしくずぼる。かなり消耗し、3回もルーファイを間違い、「アレ、なんか変だ‥」と思っては地図を見て、間違いに気づき、20mほど登り返して、また進む、ということを繰り返してしまった。これにはめげた。
1109mピークが近くなってきたころ、ようやく黒部川が見えた!これは嬉しい。が、その先も藪に阻まれて、まったく、遅々として進まない。ようやく1109mピークを越え、鉄塔を探す。が、歩けど歩けど、出てこない。もう、鉄塔なんかないんじゃないのかと疑い始めたころに、やっと鉄塔が出てきて、巡視路を辿って黒部川の岸へ。巡視路も雪がべったりである。
さて、過去の記録を拝見していると、黒部側の岸辺、ダム用道路上やトンネルの中など、人工的に平なところで幕営しているパーティが多く、当然私もそうするつもりだった、のだが、岸辺を見てびっくりする。地面など全く出ておらず、道路やトンネルと思しき場所には、びっちりと雪が斜めについてる。これをトラバースしていかないと、仙人ダムに辿り着けない。幕営なんかもってのほかである。
やむなくトラバースを開始するが、これがまた微妙な斜度。万が一落ちたら黒部川まで止まらずに転落することは明白で、非常に緊張した。ようやくダムにたどり着き、黒部川を渡る。
この時点で1600であったため、もう、この日のうちに仙人谷を渡渉するのは諦め、黒部川と仙人谷が交わる地点のほど近く、平らなところで幕営しようと思っていた。
が、その「平らなところ」は、確かに平らなのだが、なんと、そこには鹿のご遺体があって、めっちゃ臭うのである。とても泊まれるところではない。
さあ、どうする。
スノーブリッジは、地図上、ちょうど夏道のマークがあるところにかかっている。これを渡ってしまったらもう当面幕地はない。私は一生懸命仙人谷をうろうろし、ようやく、まあ、谷の斜面からの落石・雪崩があっても、ここまでは来ないか。。。という所を何とか見つけ、そこにテントを張った。
が、中に入ってしばらくしたとたん、どかーん!という大きな音がする。仙人谷の上流で落石が出たのだ。びっくりしてテントからはい出し様子を見る。ここ、やばくない?もう一度、こういうことがあったら、引っ越さねば…。と思った途端、今度はもっと大きな「どかああああああん!!!」という音がし、硝煙のにおいまで漂ってきた。予想通りテントまで落石は来ないが、到底、こんなとこ、眠れたもんじゃない。
やば。
引っ越し決定。
とはいっても、そもそも平らなところがどこにもないからここにテントを張ったのだ。もう、血眼になって、なんとかギリギリ一人横になれそうな、安全なところを発見し、大急ぎで引っ越す。ここまでは何があっても被害は来ないだろう。狭いし斜めってるし大変だったが、それでも、安心して眠れたのは大きかった。
20日。
歩きだしてすぐにスノーブリッジを渡り、雲切尾根をトラバースして、雲切新道に乗る。新道は、一部、地面が出ているのだが、いやらしく雪の塊がのっかっており、ダブルアックスで雪の塊の上に這い上がったり這い降りたり、めんどくさいこと限りなし。
1200mまであがると、ようやく尾根にびっちり雪がついてくれたのだが、標高1450m、全く思いかけないところで、私はこの日最大の核心にぶち当たった。
そこは、地形図上も斜度が急で、現地を見るとちょっとした岩峰になっている。夏道は、岩峰を左手から巻くようにしてついているようで、上部に一部梯子が出ている。が、その左手は斜度のきつい雪面になっているうえ、岩峰から落ちてきたと思しき岩が散乱している。これはちょっと、、、行くとしても、確保ナシに行く場所ではない。
ならば、と思って岩峰を右手から見ると、こちらはやや穏やかな雪面なのだが、いたるところに亀裂が走っている。おまけに雪はずぶずぶで保持力ゼロ、足を一歩踏み出すとずぶっと、30~40㎝は沈むのだ。
おお、こわ。が、もう、ここを行くしかない。私は斜面を睨みつけ、亀裂の入った雪面をあみだくじのように登ることにし、そろそろと、進み始めた。一歩、また一歩。片足をあげても、もう片足と両手とで三点支持を維持できることを確認しながら。ぐずっ、と雪が動くたびに息が止まりそうになる。落ち着け。落ち着いていけば必ずいける。必ず…
ようやくあみだくじが終わり、1500m付近の平らな台地に辿り着いたときは脱力した。
ここから先は、技術上の困難はない。が、ここから地獄のラッセルが続く。足は極度に重く、ワカンを履いても全く進まない。今日は、1400頃から降雨が予想されている。なんとかそれまでにガンドウ尾根に合流したい。
ギリギリ、雨が降る前に稜線に乗る。ここからは、少しはラッセルがましになるのか。。。と思ったが全く楽にならない。ここから仙人池ヒュッテまでのわずかな距離に1時間以上かかる。本当は、池の平小屋まで行きたかったのだが、とても及ばない。そうこうするうちに風雨が激しくなってきた。なんとか、仙人池ヒュッテにテントを張って転がり込む。吐き気がするほど疲れた。一晩中風雨が強かった。
21日。
早朝には風は止み、快晴。テント撤収にかかるが、昨夜の雨がテントを凍らせ、撤収がめちゃめちゃ大変だった。が、朝方冷え込んでくれたために、昨日のずぼずぼ地獄はなく、とことこと快適に仙人山に向かう。左手には大きく剱が、右手には五龍が見えて感慨深い。
仙人山を下降し、池の平山に取りついたのだが、これが大変だった。中腹で朝8時を過ぎ、再びずぼずぼ地獄が始まったのだ。足回りをアイゼンワカンに、ピッケルをストックに持ち替え、ようやく池の平山に辿り着く。
日本海が見える!これから向かう北方稜線もくっきり白く、青空を切り取るように美しい。
2505mピークから、懸垂4回。特に最初の一回は、クライムダウンもできるか・・・と思ったのだが、単独だし、アンパイを取ろう、と思って懸垂したのが功を奏した。途中、完全に氷化していたのだ。あらためて、常にアンパイに振ることの重要性を思い知った。
結局、小窓についたのは11時30分過ぎだったように思う。そこから小窓の頭に登り、降り、また小窓の王に登る、のだが、これまた斜面が絶望的に悪い。何度足を出しても、ずぼ、ずぼ、っと雪は沈み、おなじところでずーっと足踏みをするようで、非常に疲れる。なんとか這い上がる。
這い上がると池の谷ガリーが美しい。何度見たことか、何度登ったかと感慨深い。が、その時はいつもパートナーが傍にいてくれた。今回は、単独である。
懸垂二回でトラバース地点に達する。相変わらずずぼりまくるので慎重に進む。1600ギリギリに三の窓着。
見下ろすと、池ノ谷ガリーがスパッと切れ落ち、白萩川となって立山連峰を割りながら走り、早月川と名前を変えて富山湾に流れ込んでいく。美しい。
ようやくここまで来た。ここから先は、勝手知ったる。。。である。明日は天気予報が絶悪なので、もう早月小屋でピッチを切るのはやめ、一気に馬場島まで下りることにする。
疲れ果てて夕飯もほとんど食べずに眠る。
22日。
早く起きようと思ったのに、結局いつもと同じ時間に起床し、出発する。池ノ谷ガリーをひたすら登り、池ノ谷乗越へ。そこから左右がすっぱりと切れ落ちた稜線を進む。高度感は半端なく、わずかなミスも許されない。一挙手一投足に細心の注意を払ってジワジワ前進し、長次郎の頭へ。
そこからコルまでは、雪がきちんとついており、クライムダウンできる。いよいよ最後の雪壁だ。これは、「ラストがオーバーハングしている」と記載されることが多いようだが、慎重にルーファイすれば、オーバーハングなしに登ることができる。
そして山頂。ほぼ雪に埋まった小さな社。
涙が出そう。が、泣くには百年早い。ここから先、早月の下降も気が抜けない、過去には事故も起こっている。
社に跪いて手を合わせ、心を静めて下降に入る。
さて、である。早月小屋までは順調についた、のだが、その先がまさしく最悪最低であった。雪が多く、腐っており、切れ目も非常に多く、ワカンだと滑るし、アイゼンだとずぼる。
もう、なんどとなく足まわりを取替え、埋まり、尻もちをつき、滑りかけ、全身びしょぬれになる。だが、早月は割と左右がすっぱりと切れ落ちているところが多く、滑りだしたら止まらないだろう。自分が疲労困憊して、注意力が落ちているのも身にしみてわかる。「しっかりしろ」「慎重に行け」「急ぐな。遅くなってもいいんだから」と、声に出して自分に言い聞かせ、わずかな下降でもバックステップで慎重にけり込み、赤布を確認しながら、ゆっくり、ゆっくりと降りて、14時半過ぎ、松尾平に、近づいた、そのとき、私は、目下に、奇妙な、赤いものを確認した。
あれは赤布ではない。あれは、ヤッケだ。夫の、ふるい、ぼろぼろのヤッケである。
声を限りに呼んだ。赤いヤッケは立ち上がり、こちらを向いて、手を振った。迎えに来てくれたのだ。
私は駆け出したくなる衝動を抑え、唇をかみしめて、ゆっくりゆっくり、赤いヤッケに近づいて行った。
2025年04月11日
弁護士になってよかったこと。
この仕事をしていてよかったな、と思えることの一つに、
平凡につつがなく人生を生き抜くことの偉大さを痛感できる、という点があります。
普通の人間が、ほんのちょっとした、どこにでもあるような誘惑に負け、道を踏み外していく。最後は刑務所や路上で一生を終える。「一流」大学卒、「一流」企業のサラリーマンだった、という人もその中には少なくありません。
その人生の流れを間近に観察していると、日々、すぐそこにある誘惑に負けずに、地道に誠実に1日1日を終えていくことが、それだけでいかに偉大か、と痛感する。とかく、平凡な日常というものは薄いベールに過ぎません。すぐ、裂けてしまうものなんです。
しかし振り返って思えば、ウチのオヤジは、短気で頑固で我がままで、何かと言えばすぐに怒鳴り散らし、本当に、我が父ながら大変扱いにくい、大変な癇癪もちでしたが、
しかし、彼だって、北海道の田舎から出てきて以来、特に目立つ悪いこともせず(いや、少しは良からぬこともしたでしょう。昭和の時代、パワハラもセクハラもいかにもしそうです。が、ともかく大事なく)、
勤めを続け、退職することも解雇されることもなく、二人の娘を大学まで出し、住宅ローンも完済し、定年まで勤めあげて無事に退職金を得て、何はともあれ今は、平穏にリタイヤ生活を送っております。
それだけで恐ろしく偉大なことです。父よ、あなたは偉かった。
と同時に、我が父という社員を馘にもせずに、新卒から定年まで雇ってくれた某金融機関はもっとえらい。マジ感謝です。さぞ扱いにくい社員だったのではないでしょうか。ほんと、お疲れ様でございます。
なんのご縁か、私は、この、父が勤めていた金融機関本社ビル(東京に出てきてすぐ父がお世話になった建物)があった地のま隣に、いま、事務所を構えています。父と同じ経路で、いま、通勤しているんです。毎朝、新宿の駅を出て、感慨深いものがあります。我が父もこうやってここを歩いて通勤し、給与を得て、家庭に持ち帰ってくれていたのか。。。。と。
毎朝、父の勤務先であった某金融機関に手を合わせて拝む思いです。もちろん、我が父にも、ですが。
平凡につつがなく人生を生き抜くことの偉大さを痛感できる、という点があります。
普通の人間が、ほんのちょっとした、どこにでもあるような誘惑に負け、道を踏み外していく。最後は刑務所や路上で一生を終える。「一流」大学卒、「一流」企業のサラリーマンだった、という人もその中には少なくありません。
その人生の流れを間近に観察していると、日々、すぐそこにある誘惑に負けずに、地道に誠実に1日1日を終えていくことが、それだけでいかに偉大か、と痛感する。とかく、平凡な日常というものは薄いベールに過ぎません。すぐ、裂けてしまうものなんです。
しかし振り返って思えば、ウチのオヤジは、短気で頑固で我がままで、何かと言えばすぐに怒鳴り散らし、本当に、我が父ながら大変扱いにくい、大変な癇癪もちでしたが、
しかし、彼だって、北海道の田舎から出てきて以来、特に目立つ悪いこともせず(いや、少しは良からぬこともしたでしょう。昭和の時代、パワハラもセクハラもいかにもしそうです。が、ともかく大事なく)、
勤めを続け、退職することも解雇されることもなく、二人の娘を大学まで出し、住宅ローンも完済し、定年まで勤めあげて無事に退職金を得て、何はともあれ今は、平穏にリタイヤ生活を送っております。
それだけで恐ろしく偉大なことです。父よ、あなたは偉かった。
と同時に、我が父という社員を馘にもせずに、新卒から定年まで雇ってくれた某金融機関はもっとえらい。マジ感謝です。さぞ扱いにくい社員だったのではないでしょうか。ほんと、お疲れ様でございます。
なんのご縁か、私は、この、父が勤めていた金融機関本社ビル(東京に出てきてすぐ父がお世話になった建物)があった地のま隣に、いま、事務所を構えています。父と同じ経路で、いま、通勤しているんです。毎朝、新宿の駅を出て、感慨深いものがあります。我が父もこうやってここを歩いて通勤し、給与を得て、家庭に持ち帰ってくれていたのか。。。。と。
毎朝、父の勤務先であった某金融機関に手を合わせて拝む思いです。もちろん、我が父にも、ですが。
2025年03月21日
結婚したんだけれども、うまくいっていないんだけれども、というアナタに贈る3つの忠告
結婚したんだけどうまくいってないんだけど…というアナタに、いま、やってはいけないこと3選です。
①子どもを作る。
言わずもがなで、子どもを巻き込むからです。「子どもができたら変わる」はずがありません。
絶対、変わりません。
「子はかすがい」にはならないんです。かすがい役を果たせなかった子どもに、無駄に自責の念を与えるだけです。
②不動産を買う。
これもまた言わずもがなで、揉める種が増えるだけです。多額の金が動くのみならず、生活の本拠地という、人生の根幹にかかわるものが揺さぶられることになります。
マイホームなんか買ったって幸せにはなりません。ローンを組んで不幸を買いますか。ほんとにそれでいいですか。
③親に相談する。
子に離婚の相談をされた親は、たいていの場合離婚を勧めます。「お前にも悪いところがある。もう少し我慢したら」とはなかなかいわない。
また、一度離婚について相談された親は、今後永続的に子の結婚離婚問題に口を出す権利を得たと錯覚することがあります。それはそれで、あなたの人生の障害になります。
背中を押してほしい、というご希望も判りますが、誰かに背中を押されないと動けない、その程度の気持ちなら、離婚はまだしないほうがいいです。離婚する覚悟が決まっていないということですから。誰に背中を押されなくても、もうこれは無理だ。と思えないと、その後の厳しい離婚交渉を耐え抜けません。
ご安全に。くれぐれも。
①子どもを作る。
言わずもがなで、子どもを巻き込むからです。「子どもができたら変わる」はずがありません。
絶対、変わりません。
「子はかすがい」にはならないんです。かすがい役を果たせなかった子どもに、無駄に自責の念を与えるだけです。
②不動産を買う。
これもまた言わずもがなで、揉める種が増えるだけです。多額の金が動くのみならず、生活の本拠地という、人生の根幹にかかわるものが揺さぶられることになります。
マイホームなんか買ったって幸せにはなりません。ローンを組んで不幸を買いますか。ほんとにそれでいいですか。
③親に相談する。
子に離婚の相談をされた親は、たいていの場合離婚を勧めます。「お前にも悪いところがある。もう少し我慢したら」とはなかなかいわない。
また、一度離婚について相談された親は、今後永続的に子の結婚離婚問題に口を出す権利を得たと錯覚することがあります。それはそれで、あなたの人生の障害になります。
背中を押してほしい、というご希望も判りますが、誰かに背中を押されないと動けない、その程度の気持ちなら、離婚はまだしないほうがいいです。離婚する覚悟が決まっていないということですから。誰に背中を押されなくても、もうこれは無理だ。と思えないと、その後の厳しい離婚交渉を耐え抜けません。
ご安全に。くれぐれも。
2025年03月19日
訴訟と怒りと交渉と。
訴訟を希望される方のなかには、
許せない!相手がやったことを認めさせたい!
謝罪させたい!
という方が、非常に多くいらっしゃいます。
しかし、素直に認めたり、謝罪したりするような相手なら、そもそも訴訟にまで至っていないわけです。
弁護士から見ると、
いやいや、そんなの絶対に認めないでしょ、絶対に謝らないですよ、でも、それでもいまここで話をまとめて、この訴訟を和解で終わらせておいたほうがアナタにとって絶対いいんですよ。。。
という事案はかなり多い。
こういうときに、どうやってお客さんにわかってもらえるかは、かなり難問です。
「そんなの(謝罪やらなにやら)、絶対、無理ですよ、さっさと和解しましょうよ。おカネ貰った方がいいでしょう。」
というと、いわれたほうはいろいろもやもやします。「金の問題じゃないんです、先生。。。」と、皆さん仰る。
そう、そういう問題じゃないんですよね。お客さんにとっては。お気持ちの問題です。
なんだけど、我々は法律家でありネゴシエイターでもあるのですが、キモチの専門家ではない。心理療法士ではないんです。なのでお気持ち自体をどうしてさしあげることもできません。
こういう時は、その「怒り」を、相手に買わせる。できるだけ、高く買わせる。そして、ご自身は、怒りを手放して身軽になる。
そう思われた方が、いいんです。
そうですよね、許せない、謝らせたい。というお気持ちですよね。判りますよ。そのお気持ち、相手に買い取らせましょうよ。謝らないというなら、この気持ちをいくらで買うか、10万でも20万でも高く買え。そういう交渉をしませんか。
というと、受け入れてくれる方もいる。
そうやって、怒りや恨みのキモチをうっぱらって手放して、そのカネをもとに、気持ちよく次の人生のスタートを切っていただきたい、と切に思います。そんな相手への怒りに、あなたの人生を食い荒らされるのは、もう、やめたほうがいいんです。
ただ、そのために、弁護士サイドとしては、5万でも10万でも、何なら5000円でも、しぶと和解く交渉する必要があります。安易な妥協をしては、お怒りを気持ちよく売れないからです。
また、そうやって粘る弁護士の姿をお客さんに見ていただくことも、お客さんのオキモチの、気持ちよい旅立ちには、必要なのであろう。と思います。
訴訟が、あなたの、新しい人生のスタートになりますように。
許せない!相手がやったことを認めさせたい!
謝罪させたい!
という方が、非常に多くいらっしゃいます。
しかし、素直に認めたり、謝罪したりするような相手なら、そもそも訴訟にまで至っていないわけです。
弁護士から見ると、
いやいや、そんなの絶対に認めないでしょ、絶対に謝らないですよ、でも、それでもいまここで話をまとめて、この訴訟を和解で終わらせておいたほうがアナタにとって絶対いいんですよ。。。
という事案はかなり多い。
こういうときに、どうやってお客さんにわかってもらえるかは、かなり難問です。
「そんなの(謝罪やらなにやら)、絶対、無理ですよ、さっさと和解しましょうよ。おカネ貰った方がいいでしょう。」
というと、いわれたほうはいろいろもやもやします。「金の問題じゃないんです、先生。。。」と、皆さん仰る。
そう、そういう問題じゃないんですよね。お客さんにとっては。お気持ちの問題です。
なんだけど、我々は法律家でありネゴシエイターでもあるのですが、キモチの専門家ではない。心理療法士ではないんです。なのでお気持ち自体をどうしてさしあげることもできません。
こういう時は、その「怒り」を、相手に買わせる。できるだけ、高く買わせる。そして、ご自身は、怒りを手放して身軽になる。
そう思われた方が、いいんです。
そうですよね、許せない、謝らせたい。というお気持ちですよね。判りますよ。そのお気持ち、相手に買い取らせましょうよ。謝らないというなら、この気持ちをいくらで買うか、10万でも20万でも高く買え。そういう交渉をしませんか。
というと、受け入れてくれる方もいる。
そうやって、怒りや恨みのキモチをうっぱらって手放して、そのカネをもとに、気持ちよく次の人生のスタートを切っていただきたい、と切に思います。そんな相手への怒りに、あなたの人生を食い荒らされるのは、もう、やめたほうがいいんです。
ただ、そのために、弁護士サイドとしては、5万でも10万でも、何なら5000円でも、しぶと和解く交渉する必要があります。安易な妥協をしては、お怒りを気持ちよく売れないからです。
また、そうやって粘る弁護士の姿をお客さんに見ていただくことも、お客さんのオキモチの、気持ちよい旅立ちには、必要なのであろう。と思います。
訴訟が、あなたの、新しい人生のスタートになりますように。
2025年03月13日
そこには、必ず、罠がある。
時々、事務所にいらっしゃるお客さんは、
「先生、この調停はすぐ終わると思うんです」
「妻は離婚に同意してますから、そんなに揉めないと思います」
「こんな事件、簡単だと思うんで…」
などなど、と、おっしゃいます。
が、お客んがそうおっしゃった事件で、「簡単だった」「楽だった」「すぐに終わった」事件は、ありません。
とんとん拍子にいきそうだ、と見えるときには、警戒しましょう。必ず罠がありますから。
とんとん拍子に行っている、と見えるときには、もっと警戒しましょう。罠は、確実にあなたをとらえにかかっていますから。積極的に不安になりましょう。
逆に、全くうまくいってない、罠にドはまりしている、なう、という時には、希望を持ちましょう。必ずどこかに抜け道がありますから。
そういうもんですよ‥‥
と、お客さんには、いつも申し上げています。この「上手くいくはずがない」精神が、最大の防御として効果的に働くこともあります。
世間では「楽観的に行きましょう」「自信を持ちましょう」「自分を信じましょう」という言説もありますが、私は懐疑的です。自分なんか一番信じられません。いっぱい、ミスしますから。だから、いつも自分がミスをするのではないかと警戒しています。この警戒が、ミスに対する最大の防御だと思っています。
なお、余談ですが、これらのセリフ、つまり「こんな事件簡単ですよ」系のセリフを、「イソ弁がボス弁に言われた時」には更なる大警戒が必要です。もう、間違いなく、災害級の罠があります。
イソの皆さん、お気をつけて。ご安全に。
「先生、この調停はすぐ終わると思うんです」
「妻は離婚に同意してますから、そんなに揉めないと思います」
「こんな事件、簡単だと思うんで…」
などなど、と、おっしゃいます。
が、お客んがそうおっしゃった事件で、「簡単だった」「楽だった」「すぐに終わった」事件は、ありません。
とんとん拍子にいきそうだ、と見えるときには、警戒しましょう。必ず罠がありますから。
とんとん拍子に行っている、と見えるときには、もっと警戒しましょう。罠は、確実にあなたをとらえにかかっていますから。積極的に不安になりましょう。
逆に、全くうまくいってない、罠にドはまりしている、なう、という時には、希望を持ちましょう。必ずどこかに抜け道がありますから。
そういうもんですよ‥‥
と、お客さんには、いつも申し上げています。この「上手くいくはずがない」精神が、最大の防御として効果的に働くこともあります。
世間では「楽観的に行きましょう」「自信を持ちましょう」「自分を信じましょう」という言説もありますが、私は懐疑的です。自分なんか一番信じられません。いっぱい、ミスしますから。だから、いつも自分がミスをするのではないかと警戒しています。この警戒が、ミスに対する最大の防御だと思っています。
なお、余談ですが、これらのセリフ、つまり「こんな事件簡単ですよ」系のセリフを、「イソ弁がボス弁に言われた時」には更なる大警戒が必要です。もう、間違いなく、災害級の罠があります。
イソの皆さん、お気をつけて。ご安全に。
2025年03月06日
有明山深沢右俣正面壁中央ルンゼ
有明山深沢右俣正面壁に行ってきました。
観音峠から林道を離れ、沢に向かって下降し、渡渉。そこから深沢に入ります。正面壁まで、大した距離でもありませんが、ザイルを出して登る必要がある大きな氷瀑もあり、結構楽しめます。
大きな氷瀑を登ったところにテントを張るパーティが多いようですが、我々は
・できるだけ正面壁に近づきたい。
・でも、同時に、水がとれるところがいい。
という二つの要請にこたえるため、もう少し進み、大岩の陰にテントを張りました。
正面壁がよく見えます。
翌日に登攀。特に3ピッチ目はど垂直で厳しい登攀でしたが、強いパートナーのおかげで何とか抜けられました。
良い登攀でした。ありがとうございました。

観音峠から林道を離れ、沢に向かって下降し、渡渉。そこから深沢に入ります。正面壁まで、大した距離でもありませんが、ザイルを出して登る必要がある大きな氷瀑もあり、結構楽しめます。
大きな氷瀑を登ったところにテントを張るパーティが多いようですが、我々は
・できるだけ正面壁に近づきたい。
・でも、同時に、水がとれるところがいい。
という二つの要請にこたえるため、もう少し進み、大岩の陰にテントを張りました。
正面壁がよく見えます。
翌日に登攀。特に3ピッチ目はど垂直で厳しい登攀でしたが、強いパートナーのおかげで何とか抜けられました。
良い登攀でした。ありがとうございました。

2024年12月26日
滋賀医大生の高裁逆転無罪判決と、それにまつわる一連の動きについて思うこと
大阪高裁が、滋賀医大生2名に逆転無罪判決を言い渡した件で、業界もそれ以外も沸き立っているようです。
私は、一審も二審も判決精査してません。
証拠も見てないし、もとより公判も見てない。報道をぼんやり見ているだけです。
よって、以下は、一人の、しがない弁護士の感想でしかありません。
少なくとも東京高裁刑事部は、私が知る限り、地検よりも高検よりも、被告人を有罪にしようという固く決意しているところです。
ヤツらの判決たるや、検察官の論告よりも冷徹です。血も涙もない。
訴訟指揮においても、被告人側の証拠には一顧だにせず(採用しない)、誰も頼んでもいない本人質問を突然始め、有罪の証拠を自ら取りにいく。そういうところです。
私は、東京高裁刑事部に事件を放り込んだら、自動的に有罪判決が茹であがってくる、そういう仕組みになっているのではないかとさえ、思っています。まあ、これは、恨み節です。
で、ここからは私の推測です。私は大阪高裁刑事部を知りません。そこで、弁護活動、したことない。
しかし、少なくとも大阪高裁刑事部は、東京高裁刑事部のご同輩であられる。
この二つの刑事部のモチベが、そんなに違う?だろうか。。。似たようなもんじゃないだろうか。。。しょせん、高裁刑事部の裁判官なんて、(失礼を承知で申し上げるが)一つ穴のムジナでしょ。。。
と、私はどうしても思ってしまいますねえ。
だから、わたしゃ、まあ、きっと、実際に証拠見たら「ああ、そういうことか。」ってなる何かがあるんじゃなかろうか。とぼんやり感じております。
興味深い事件ではあります。当然、こりゃ、最高裁に行くでしょうよ。
ご判断を見たい。
しかし、一般の皆さんが、高等検察庁に「上告を嘆願する書面を出す」という時代が来るとは、思わなんだ。
そのほうが、私は、ちょっと怖い気がします。
脈絡ないですが、写真は、一昨年、クリスマスの日に登った、八ヶ岳北部・稲子岳南壁からみた、朝日です。

私は、一審も二審も判決精査してません。
証拠も見てないし、もとより公判も見てない。報道をぼんやり見ているだけです。
よって、以下は、一人の、しがない弁護士の感想でしかありません。
少なくとも東京高裁刑事部は、私が知る限り、地検よりも高検よりも、被告人を有罪にしようという固く決意しているところです。
ヤツらの判決たるや、検察官の論告よりも冷徹です。血も涙もない。
訴訟指揮においても、被告人側の証拠には一顧だにせず(採用しない)、誰も頼んでもいない本人質問を突然始め、有罪の証拠を自ら取りにいく。そういうところです。
私は、東京高裁刑事部に事件を放り込んだら、自動的に有罪判決が茹であがってくる、そういう仕組みになっているのではないかとさえ、思っています。まあ、これは、恨み節です。
で、ここからは私の推測です。私は大阪高裁刑事部を知りません。そこで、弁護活動、したことない。
しかし、少なくとも大阪高裁刑事部は、東京高裁刑事部のご同輩であられる。
この二つの刑事部のモチベが、そんなに違う?だろうか。。。似たようなもんじゃないだろうか。。。しょせん、高裁刑事部の裁判官なんて、(失礼を承知で申し上げるが)一つ穴のムジナでしょ。。。
と、私はどうしても思ってしまいますねえ。
だから、わたしゃ、まあ、きっと、実際に証拠見たら「ああ、そういうことか。」ってなる何かがあるんじゃなかろうか。とぼんやり感じております。
興味深い事件ではあります。当然、こりゃ、最高裁に行くでしょうよ。
ご判断を見たい。
しかし、一般の皆さんが、高等検察庁に「上告を嘆願する書面を出す」という時代が来るとは、思わなんだ。
そのほうが、私は、ちょっと怖い気がします。
脈絡ないですが、写真は、一昨年、クリスマスの日に登った、八ヶ岳北部・稲子岳南壁からみた、朝日です。
2024年12月25日
今年の山行総括
今年もいよいよ終わりに近づいてきました。
今年の、印象に残った登攀、遡行を振り返ってみると、
・アイスクライミング 荒川出合2ルンゼ登攀(2月)
・利尻東北稜登攀(3月)
・塩見岳バットレス天狗尾根登攀(3月)
・穂高屏風岩雲稜ルート(4月)
・谷川岳幽ノ沢V字スラブ右ルート登攀(6月)
・大井川滝ノ沢遡行(7月)
・黒部上の廊下から赤木沢継続(8月)
・水無川・真沢秡川遡行(9月)
・穂高・中又白谷遡行(10月)
・谷川岳マチガ沢東南稜登攀(10月)
などがあります。天候不順のため、思うような登攀ができないことも多かったですね。
ただ、クライミング自体には、成果がでており、それはまあ、よかったことと、
平凡ではありますが、10月に北岳バットレス4尾根をオールリードで再登できたことがよかったです。
ただ、今年は所属山岳会で事故が相次ぎ、毎月のように救助やらヘリ要請やらという騒ぎがあり、それにはだいぶ神経がすり減りました。
死者が出なかったことだけが、唯一の救いでしょうか。
とはいえ、これから皆さん、年末年始山行に入るでしょう。現時点で、天気予報は非常に悪い。
冬山では、ちょっとしたこと、夏ならばなんとかなることが、死に直結します。
そのことを肝に銘じて、どうか、全登攀者が、無事故で下山しますように。自分のパーティも、どうか、事故なく下山できますように。
神頼みではありますが、各パーティの実力が問われる場面でも、あります。

今年の、印象に残った登攀、遡行を振り返ってみると、
・アイスクライミング 荒川出合2ルンゼ登攀(2月)
・利尻東北稜登攀(3月)
・塩見岳バットレス天狗尾根登攀(3月)
・穂高屏風岩雲稜ルート(4月)
・谷川岳幽ノ沢V字スラブ右ルート登攀(6月)
・大井川滝ノ沢遡行(7月)
・黒部上の廊下から赤木沢継続(8月)
・水無川・真沢秡川遡行(9月)
・穂高・中又白谷遡行(10月)
・谷川岳マチガ沢東南稜登攀(10月)
などがあります。天候不順のため、思うような登攀ができないことも多かったですね。
ただ、クライミング自体には、成果がでており、それはまあ、よかったことと、
平凡ではありますが、10月に北岳バットレス4尾根をオールリードで再登できたことがよかったです。
ただ、今年は所属山岳会で事故が相次ぎ、毎月のように救助やらヘリ要請やらという騒ぎがあり、それにはだいぶ神経がすり減りました。
死者が出なかったことだけが、唯一の救いでしょうか。
とはいえ、これから皆さん、年末年始山行に入るでしょう。現時点で、天気予報は非常に悪い。
冬山では、ちょっとしたこと、夏ならばなんとかなることが、死に直結します。
そのことを肝に銘じて、どうか、全登攀者が、無事故で下山しますように。自分のパーティも、どうか、事故なく下山できますように。
神頼みではありますが、各パーティの実力が問われる場面でも、あります。

2024年12月06日
男と女と決断力
当たり前のことですが、いざ、問題が起こった時、誰かが何かの決断をしなければ、問題は解決に至りません。問題がスピーディに解決するかどうかは、この決断の速さに大きく依存します。
ところが、やはり決断するというのは勇気がいるもので、皆さん、なかなか決められない方が多い(逆に言うと、決められる方は、弁護士のところに来る前に、既に問題が解決していることも多いのです)。
私が観察する限り、「決められない」という方は、男性にも女性にも、等しく存在します。
ただ、「決められない」の在り方が、男性と女性では、若干、傾向が違うように思うのです。
男性の「決められない」族は、文字通り決められない。
「先生、どうしたらいいでしょうか」
「いや、それはもう、ご自身でお決めいただくしかありません。Aか、Bかです。メリットデメリットはご説明したとおりで、あとは、ご決断です。」
「…それで、どうしたらいいでしょうか」
「…いや、それはもうご決断ですから」
「先生…」
これが、延々と続きます。
弁護士として、これにどこまで付き合うかは、難しい問題です。我々弁護士は、ご本人の代わりに決断してあげることはできません。
一方、女性の「決められない」族の場合、
「先生、Aにします。」
「了解です。ではその方針で進めましょう。」
「先生、やっぱりBにします。」
「…そうですか。では、そうしましょうか。」
「先生、やっぱりAにします。」
「…」
これが、延々と続くことが多いように思います。つまり、決めることは決めるのですが、その決断がとても軽く、ころころ変わる。あまり「決断」が変わると、それはもはや決断と呼んでいいのだろうか…ということになってしまいます。
弁護士として、これにどこまで付き合うかも、難しい問題です。弁護士は、お客さんの決断に沿って作業を進めています。すでに進んでいる作業が、「決断変更」で、無駄になるわけですので、こちら(弁護士側)も、けっこうガクッと来ます。精神的に消耗するのです。
ところが、主に男性において、この「決められない」族が、突如、勇猛果敢に決断し、行動になだれ込む局面があります。それは不貞に及ぶ時で、まあ、これは彼の決断力というより彼の下半身の決断力、なのかもしれません。
だが、この下半身の決断力というのは実に一瞬で、以後、再び永い眠りに入ってしまいます。したがって、不貞関係を続けるとも、やめるとも、決められない。離婚するとも、しないとも決められない、という状況におちいる男性は非常に多い。惰性でずるずると不貞関係を継続し、妻にバレる。
そうなると、
「先生、どうしたらいいでしょうか」
「いや、それはもう、ご決断です。」
という会話が繰り広げられることになるのです。
ですが、これはもう、どっちが正解か、なんて考えても判らない話です。離婚したほうが幸せか、離婚しないほうが幸せか、とか、そんなことは考えても判りません。ましてや、赤の他人である弁護士にわかるはずがないんです。
ご本人に、選んでいただき、選んだほうを、正解にしていただく、しかありません。何が何でも、自分の選んだ道を正解にしてやろう、と覚悟を決めていただくしかないんです。問題は、その覚悟を決められるかどうかです。覚悟さえ決めて、そちらの方向に全力で、わき目もふらずに進むことができれどちらにいこうと、その道が正解なんです。
高村光太郎は、
僕の前に道はない。
とうたいました。しかし、この局面では、あなたの前には、道しか、ない。
あなたが自分の手で、それを正解にするほかに、道はないんです。
頑張ってください。
ところが、やはり決断するというのは勇気がいるもので、皆さん、なかなか決められない方が多い(逆に言うと、決められる方は、弁護士のところに来る前に、既に問題が解決していることも多いのです)。
私が観察する限り、「決められない」という方は、男性にも女性にも、等しく存在します。
ただ、「決められない」の在り方が、男性と女性では、若干、傾向が違うように思うのです。
男性の「決められない」族は、文字通り決められない。
「先生、どうしたらいいでしょうか」
「いや、それはもう、ご自身でお決めいただくしかありません。Aか、Bかです。メリットデメリットはご説明したとおりで、あとは、ご決断です。」
「…それで、どうしたらいいでしょうか」
「…いや、それはもうご決断ですから」
「先生…」
これが、延々と続きます。
弁護士として、これにどこまで付き合うかは、難しい問題です。我々弁護士は、ご本人の代わりに決断してあげることはできません。
一方、女性の「決められない」族の場合、
「先生、Aにします。」
「了解です。ではその方針で進めましょう。」
「先生、やっぱりBにします。」
「…そうですか。では、そうしましょうか。」
「先生、やっぱりAにします。」
「…」
これが、延々と続くことが多いように思います。つまり、決めることは決めるのですが、その決断がとても軽く、ころころ変わる。あまり「決断」が変わると、それはもはや決断と呼んでいいのだろうか…ということになってしまいます。
弁護士として、これにどこまで付き合うかも、難しい問題です。弁護士は、お客さんの決断に沿って作業を進めています。すでに進んでいる作業が、「決断変更」で、無駄になるわけですので、こちら(弁護士側)も、けっこうガクッと来ます。精神的に消耗するのです。
ところが、主に男性において、この「決められない」族が、突如、勇猛果敢に決断し、行動になだれ込む局面があります。それは不貞に及ぶ時で、まあ、これは彼の決断力というより彼の下半身の決断力、なのかもしれません。
だが、この下半身の決断力というのは実に一瞬で、以後、再び永い眠りに入ってしまいます。したがって、不貞関係を続けるとも、やめるとも、決められない。離婚するとも、しないとも決められない、という状況におちいる男性は非常に多い。惰性でずるずると不貞関係を継続し、妻にバレる。
そうなると、
「先生、どうしたらいいでしょうか」
「いや、それはもう、ご決断です。」
という会話が繰り広げられることになるのです。
ですが、これはもう、どっちが正解か、なんて考えても判らない話です。離婚したほうが幸せか、離婚しないほうが幸せか、とか、そんなことは考えても判りません。ましてや、赤の他人である弁護士にわかるはずがないんです。
ご本人に、選んでいただき、選んだほうを、正解にしていただく、しかありません。何が何でも、自分の選んだ道を正解にしてやろう、と覚悟を決めていただくしかないんです。問題は、その覚悟を決められるかどうかです。覚悟さえ決めて、そちらの方向に全力で、わき目もふらずに進むことができれどちらにいこうと、その道が正解なんです。
高村光太郎は、
僕の前に道はない。
とうたいました。しかし、この局面では、あなたの前には、道しか、ない。
あなたが自分の手で、それを正解にするほかに、道はないんです。
頑張ってください。
2024年11月28日
いわゆる「サレ妻」(夫に不貞をされた妻)が、してはならない、超基本的な4つのこと
つらつらネットを見ておりましたら、とある法律事務所の広告に、
「夫に不倫されたサレ妻がやってはいけないこと4選」というのがあって、
1 (弁護士を立てないで)自分で慰謝料の交渉をすること
2 (弁護士を立てないで)自分で相手に怒鳴り込むこと
3 (弁護士を立てないで)弁護士=裁判と誤解すること‥‥
云々かんぬん、、、、、
と、書かれておりました。
まあ、だから、サレ妻は弁護士に頼んでねっ!(もっというと、自分のところの事務所に頼んでね!)と仰いたいのでしょう。
大きく外れているとは思いません。
が、私に言わせると、もっと根本的な、やってはいけないことがいくつかあります。
以下、ご説明します。
1 逆上すること。
まず、落ち着け。旦那がオンナ一匹(あるいは二匹)と寝たくらいで、アナタの人生は終わらない。アナタの人生、そんなちゃちなもんじゃあ、ないはずだ。そうでしょう。
2 あなたが知っていることを悟られること。
これ重要ポイントです。この先、当面は情報戦です。相手にあなたの真意や計画を悟られないようにしてください。こちらの情報は一切出さず、相手の情報を集めましょう。
3 むやみやたらに探偵事務所に頼まないこと。
頼んだからって成果が出るわけでは断じてないのに、探偵事務所は異様に高額です。アホみたいな金額を頼んだ結果、出てきた調査報告書が鼻くそほどの役にも立たん、ということはよくあります。
このさき、カネは大切です。ここに、むやみやたらに、大切なカネを突っ込んではいけません(もっとも、必要な時もあります。よく考えてからにしましょう、ということです)。
4 経済的な自立を怠ること。
夫の浮気を知って、逆上し、「離婚してやるウ!」と叫ぶのはタダですが、その前に、離婚後、どうなるかをよく考えましょう。
養育費なんてあてになりません。慰謝料なんて雀の涙です。
泣きわめいたり叫んだりするより、まず、ご自身で生きて行けるようになりましょう。ダンナに縋りつかなきゃ生きていけない人生、より、ダンナありの人生か、ナシの人生か、という選択肢を、あなたが、持てるようにしておくことです。
最終的に、あなたが頼れるのは、あなただけです。いわゆるサレ妻、が、頭に叩き込んでおかなくてはならない、最も大事なことはこれです。そして、これは、人生一般において、最も大切なこと。でもあります。
「夫に不倫されたサレ妻がやってはいけないこと4選」というのがあって、
1 (弁護士を立てないで)自分で慰謝料の交渉をすること
2 (弁護士を立てないで)自分で相手に怒鳴り込むこと
3 (弁護士を立てないで)弁護士=裁判と誤解すること‥‥
云々かんぬん、、、、、
と、書かれておりました。
まあ、だから、サレ妻は弁護士に頼んでねっ!(もっというと、自分のところの事務所に頼んでね!)と仰いたいのでしょう。
大きく外れているとは思いません。
が、私に言わせると、もっと根本的な、やってはいけないことがいくつかあります。
以下、ご説明します。
1 逆上すること。
まず、落ち着け。旦那がオンナ一匹(あるいは二匹)と寝たくらいで、アナタの人生は終わらない。アナタの人生、そんなちゃちなもんじゃあ、ないはずだ。そうでしょう。
2 あなたが知っていることを悟られること。
これ重要ポイントです。この先、当面は情報戦です。相手にあなたの真意や計画を悟られないようにしてください。こちらの情報は一切出さず、相手の情報を集めましょう。
3 むやみやたらに探偵事務所に頼まないこと。
頼んだからって成果が出るわけでは断じてないのに、探偵事務所は異様に高額です。アホみたいな金額を頼んだ結果、出てきた調査報告書が鼻くそほどの役にも立たん、ということはよくあります。
このさき、カネは大切です。ここに、むやみやたらに、大切なカネを突っ込んではいけません(もっとも、必要な時もあります。よく考えてからにしましょう、ということです)。
4 経済的な自立を怠ること。
夫の浮気を知って、逆上し、「離婚してやるウ!」と叫ぶのはタダですが、その前に、離婚後、どうなるかをよく考えましょう。
養育費なんてあてになりません。慰謝料なんて雀の涙です。
泣きわめいたり叫んだりするより、まず、ご自身で生きて行けるようになりましょう。ダンナに縋りつかなきゃ生きていけない人生、より、ダンナありの人生か、ナシの人生か、という選択肢を、あなたが、持てるようにしておくことです。
最終的に、あなたが頼れるのは、あなただけです。いわゆるサレ妻、が、頭に叩き込んでおかなくてはならない、最も大事なことはこれです。そして、これは、人生一般において、最も大切なこと。でもあります。